校歌について

本校には第一と第二の2つの校歌があります。これらの校歌はいずれも当時の生徒たちの要望を受けて製作が決定されたもので、本校ゆかりの人物により作詞されています。

第一校歌は創立25周年にあたる大正10年に制定されたもので、本校の創設者である坪内逍遙が作詞し、「都の西北」ではじまる早稲田大学校歌の作曲者でもある東儀鉄笛が曲をつけました。 第二校歌が制定されたのは創立70周年を翌年に控えた昭和39年で、本校第11回卒業の西條八十が作詞し、古関裕而がこれに曲をつけています。

元々、第二校歌は「ああ わが中学…」で始まる第一校歌に対して、高校生でも歌えるようにと作られたのですが、今日では第一校歌、第二校歌ともに中高生の区別なく歌われています。

※ 以下のボタンにより本校校歌を聞くことができます。

早稲田中・高等学校第一校歌
作詞 坪内逍遙
作曲 東儀鉄笛
  1. ああ わが中学早稲田の子等よ
    中外古今にもとらぬ教え
    愛国 博愛 正義を主とす
    君らもそれらを標語とするや
    問わな 問わな 問わな
  2. おお われもとより国家を愛す
    博愛 正義もわれらが標語
    さもあれ心に誠しなくば
    根のなき浮草 かれまず唱(との)う
    誠 誠 誠
  3. ああ わが中学早稲田の子等よ
    何をか君らは得まくぞ思う
    財(たから)か、力か、知能か、名誉
    健康、悦楽、長寿か、いずれ
    問わな 問わな 問わな
  4. おお その七つは事功のもとい
    理想を彫(え)りなす 鑿(のみ)また鉋(かんな)
    さもあれ誠を台座とせずば
    只これ醜き我欲(がよく)の像(すがた)
    みにく みにく みにく
  5. かれ わが中学早稲田の子等は
    いそしみはげみて学べる間(ひま)も
    くつろぎ休みて遊べる折も
    誠ぞわれらが理想の基音
    誠 誠 誠

 

早稲田中・高等学校第二校歌
作詞 西條八十
作曲 古関裕而
  1. 若き胸は 希望にあふれて
    集まる聖地 早稲田 早稲田
    伸びゆくわれらは みどりの稲穂
    大いなる 理想の青空は
    今日も ほほえみ招く
    早稲田 早稲田 おおわれらの早稲田
  2. ここに汲むは 輝く叡智と
    誠の泉 早稲田 早稲田
    伸びゆくわれらは 力を協(あわ)せ
    たくましく 文化の高嶺をば
    仰ぎ踊りつ 進む
    早稲田 早稲田 おおわれらの早稲田
  3. 友は来たり 別れて散るとも
    久遠の聖地 早稲田 早稲田
    伸びゆくわれらの 意気は高らか
    とこしえに 栄ゆる日本を
    担い勇みて 進まん
    早稲田 早稲田 おおわれらの早稲田


JASRAC許諾第E2311103904号

第一校歌に託された 創設者・坪内逍遙の心

校内にある「誠」の碑
大正期に本校の教頭をつとめた会津八一による「誠」の文字を彫り込んであります。2002年に元校長の堤貞夫より学校に寄贈されました。

第一校歌は文語調であるため現代の生徒たちにとってはかなり難解です。また通常1~2番しか歌われないこともあってその内容はしばしば誤解されがちです。ここでは第一校歌がどのような歌なのかを簡単に解説しましょう。

第一校歌は師弟の対話形式になっています。
「ああ、我が中学早稲田の子等よ」で始まる1番と3番は早稲田中学の生徒に対して師からなされる問いかけであり、「おお」で始まる2番と4番はそれに対する生徒としての答えです。
5番は「かれ、我が中学早稲田の子等は」で始まり、この部分は生徒が歌っているとも、それに最初に問いかけをした師も加わっているとも解釈することができます。ここの「かれ」というのは、「だから」という意味です。

現代の生徒たちは1、2番で繰り返される愛国、博愛、正義などといった言葉から「時代遅れの古い歌だ」という認識を持つことが多いのですが、全体を読み通してみると、その認識が大きな誤りであることがよくわかります。
この歌の中心テーマは「誠」にあります。その他の言葉が、いずれも人にとって大切なものとして呼び掛ける師より出されるのに対して、「誠」は「いやそれも大事だが、誠はもっと大切だ」という形で生徒の側から出される言葉だからです。

そのことは普段は歌われることの少ない3番と4番により強い形で繰り返されています。何事にも向上心を持って取り組むのは大切だが、誠の心を欠けばそれは「醜き我欲の姿」だと言っています。現在の本校はそれなりの社会評価を得て、数多くの多彩な人材も輩出しています。
しかし、それだけをもって良しとするのではなく、常に誠を基本に持ち続けよう、そういう人材を世に送り出していこう、というのが明治・大正期の早稲田中学が誇りを持って掲げた理想の姿なのです。
このように第一校歌の歌詞には、常に理想を目指そうとする若々しい気持ちが力強いメッセージとなって込められています。

表面的には古臭くも感じられる第一校歌ですが、豊かな現代に生きる私たちにこそ必要とされる歌であると言えるのではないでしょうか。
創設者・坪内逍遙の唱えた「理想の基音」は時代を超えて私たちの心に響き渡ってくるのです。

早稲田中高等学校 第一校歌 口語訳

  1. ああ われらが中学早稲田の子供たちよ
    いつの時代もどこにおいても大切なことである
    国を愛すること 広く人々を愛すること 正義を大切に思うこと
    君たちもこれらをモットーとするだろうか
    問いかけよう 問いかけよう 問いかけよう
  2. おお 私はもちろん国を愛している
    広く人々を愛することも 正義も私たちのモットーである
    しかし その心に誠がないならば
    どこにも定まるべき指針を持たず 流され易い存在になってしまう
    だからまず唱えるのだ
    誠 誠 誠 と
  3. ああ われらが中学早稲田の子供たちよ
    将来の君たちの望みは何なのだろう
    金持ちになることか 権力を得ることか 頭が良くなることか 名誉を得ることか
    健康な暮らしか 心地好い楽しみか 長寿か いったいどれだろう
    問いかけよう 問いかけよう 問いかけよう
  4. おお その七つは物事を成し遂げるための基本だ
    理想を形作るためのノミでありカンナであるのだ
    しかし その基本に誠の心を持たないとすれば
    それはただの醜い私利私欲に過ぎない
    醜いぞ 醜いぞ 醜いぞ
  5. だから われらが中学早稲田の子供たちは
    いっしょうけんめい勉強にはげんでいるときも
    くつろいで休憩し 遊んでいるときも
    理想を目指すときの基本として 常に誠を心においているのだ
    誠 誠 誠 を